1年が過ぎるのはあっという間ですね。歳をとればとるほどそう感じますが、これには「ジャネーの法則」という名前がついているそうで、「感じる時間の長さは年齢に反比例する」というものです。5歳の子どもにとって1年は人生の5分の1ですが、50歳の大人にとっては50分の1ですので、まあまあなジジイになった私にとっては1日などあっという間に感じてしまうのは仕方ない事なのですね。
そういう事で、気づけば今年も残り2か月。実はこの「年末」というタイミングは、医療にかかった費用と税金を考えるうえで大切な区切りです。保険治療費だけでなく歯科の場合はインプラントやセラミックなどの自費治療で高額な治療費がかかる場合があります。そのような費用は「医療費控除」の対象になり、確定申告をすると税金の一部が戻ってくることがあります。
保険診療だけでなく、自費診療も対象です。年末が近づくこの時期に、しくみと「実際いくら戻るのか」を分かりやすくまとめました。
医療費控除のしくみ
1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が10万円を超えると、超えた分を所得から差し引けます。所得が減るので、所得税と住民税が安くなるしくみです。
控除額 = 1年間の医療費 − 保険などで補てんされた額 − 10万円
* 保険診療と自費診療の費用は合算できます
* 生計を同じくするご家族の分もまとめられます
* 所得が200万円未満の方は、10万円ではなく「所得の5%」を超えた分が対象です
* 生命保険の給付金や高額療養費などで戻ってきたお金は差し引きます
* 控除額の上限は200万円です
インプラント・セラミックは実際いくらになる?
同じ治療費でも、所得が高い方ほど節税額は大きくなります。独身の方を例に、節税額を差し引いた「実質の負担額」の目安をまとめました。
1.インプラント1本(40万円)の場合
その年の医療費がインプラント1本だけなら、医療費控除額は30万円(40万円−10万円)です。
■課税所得300万円の方
所得税が約3.1万円、住民税が約3万円安くなり、節税額は合計約6.1万円。実質の負担は約33.9万円です。
■課税所得500万円の方
所得税が約6.1万円、住民税が約3万円安くなり、節税額は合計約9.1万円。実質の負担は約30.9万円です。
■課税所得1,000万円の方
所得税が約10.1万円、住民税が約3万円安くなり、節税額は合計約13.1万円。実質の負担は約26.9万円です。
ここでいう「所得」は年収ではありません。 年収から給与所得控除や社会保険料、基礎控除などを差し引いた「課税所得」のことです。
2.セラミックの被せ物1本(10万円)の場合
セラミック1本10万円だけでは、10万円を超えないため控除は受けられません。ただし、インプラントやご家族の通院など、ほかの医療費とあわせて10万円を超えていれば、セラミックの10万円はまるごと控除の対象になります。
ほかの医療費ですでに10万円を超えている場合の目安です。
課税所得300万円の方は節税額が約2万円で、実質の負担は約8万円。500万円の方は約3万円で約7万円、1,000万円の方は約4.4万円で約5.6万円になります。
* 所得税は所得が高いほど税率が上がるしくみ(累進課税)のため、節税額に差が出ます
* 住民税は税率が一律10%なので、控除額の1割が安くなります(翌年度の住民税が減ります)
* 所得税には復興特別所得税を含めています
* 金額は目安です。ほかの控除の状況などで実際の額は変わります
対象になる治療・ならない治療
ポイントは「治療が目的かどうか」です。見た目を整えるだけの目的だと対象外になります。
医療費控除の対象になるのは、保険診療の治療費、インプラント治療、治療目的のセラミックなどの被せ物・詰め物、噛み合わせなど機能改善のための矯正、通院のための電車・バス代などです。
一方、ホワイトニングなど美容目的の処置、見た目だけを目的とした矯正、歯ブラシや歯磨き粉などのケア用品、通院のための自家用車のガソリン代・駐車場代は対象になりません。
判断に迷う場合は、お気軽にスタッフにご相談ください。
知っておきたい3つのポイント
1. 「支払った日」で決まります 治療を受けた日ではなく、お金を支払った日の年の医療費になります。12月中のお支払いは今年分として計算できます。
2. デンタルローンやクレジットカード払いも対象です ただし、ローンの利息や手数料は対象外です。
3. 領収書は大切に保管しましょう 申告には医療費の明細が必要です。ご家族の分もまとめて保管しておくと安心です。
申告の流れ
医療費控除は年末調整では受けられないため、ご自身で確定申告が必要です。会社員の方も同じです。
1. 1年分の領収書を集める
2. 「医療費控除の明細書」を作る(健康保険の医療費通知も使えます)
3. 翌年の確定申告で提出する(スマホやパソコンからe-Taxでも申告できます)
まとめ
歯科治療の費用は、保険・自費を問わず医療費控除の対象になります。インプラント1本40万円なら、所得に応じて約6万〜13万円ほど節税でき、実質の負担は約27万〜34万円が目安です。ほかの治療やご家族の医療費とあわせると、さらに節税額が増えることもあります。
みやかわデンタルクリニックでは、治療費のご相談も承っています。医療費控除について気になることがあれば、お気軽にお声がけください。
※本記事は一般的な制度の解説です。個別の税額や手続きについては、税務署または税理士にご確認ください。
参考
* 国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
* 国税庁 No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例