名古屋駅から徒歩3分、みやかわデンタルクリニックの院長・宮川です。
今回は少し踏み込んだテーマ「インプラントのトラブル」についてお話しします。インプラントは正しく行えば非常に信頼性の高い治療ですが、それでも長い年月の中でさまざまな問題が起こり得ます。当院での経験をもとに、インプラントを検討されている方、すでにインプラント治療を受けられた方、両方にとって役立つ情報をまとめました。
22年間、カムログインプラントを使い続ける理由
僕がインプラント治療を初めて行ってから今年で25年になります。開業当初はITIインプラントからスタートしましたが、その後すぐにカムログ(CAMLOG)インプラントへと切り替え、以来22年間にわたって使用し続けています。
カムログを選び続けている理由は明確です。強度と精密さを高いレベルで両立しているインプラントシステムだからです。
インプラントは顎の骨に埋め込む人工歯根ですから、長期にわたって噛む力に耐え続ける強度が必要です。同時に、上部構造(人工の歯冠部分)との接合部の精度が低いと、隙間から細菌が入り込んだり、ネジが緩んだりといったトラブルの原因になります。カムログはこの両面において、極めて評価の高いインプラントです。
当院のデータでも、一般的なインプラントのトラブル率と比較して低い数字が出ています。もちろんゼロではありませんが、トラブルが起きた際も、インプラントの構造を外面も内側も熟知しているため、原因の特定と対処がスムーズです。同じシステムを長年使い続けることで生まれる「トラブルの原因を読める力」は、患者さんにとって大きな安心につながると考えています。
今、一番頭を悩ませていること——他院インプラントへの対処
当院は名古屋駅前という場所柄、患者さんは様々な地域から来院されますが、中には「他のクリニックでインプラントを入れたが、何かおかしい」という方が来られるパターンが少なくありません。正直なところ、これが現在最も対処に苦慮しているケースです。
なぜ難しいか。インプラントのメーカーは過去から現在に至るまでに国内外に数多く存在しており、メーカーがすでに事業撤退していたり、吸収合併で部品の供給が途絶えていたりすることがあります。上部構造(被せ物の部分)が緩んできただけでも、内部のネジの規格やパーツの形状はメーカーごとに異なるため、対応器具を持っていなければ手が出せません。
そのため、メーカー名・インプラントの種類・サイズが判明している場合は、そのインプラントシステムに対応可能な医院さん行ってもらうことが一番良いのですが、もし自力で見つからない場合は当院からメーカーに問い合わせるなどで対応可能な医院を調べることもできます。また、もしそのような医院が見つからなくても器具をメーカーから貸してもらったり、最悪でも購入して処置することが可能です。しかし「どこの歯科医院で入れたか覚えていない」「もらった資料を捨ててしまった」という方も多く、そうなると画像診断だけでメーカーを推測するしかありません。これは非常に困難な作業です。
インプラントを入れた方へのお願い
これは強くお伝えしたいことです。 インプラントを入れた際には、必ず以下の情報を手元に残しておいてください。
- インプラントのメーカー名
- インプラントの種類(システム名)
- サイズ(直径・長さ)
- 治療を行った歯科医院と担当医師名
治療後に渡されるインプラント保証書やカードに記載されていることが多いので、捨てずに保管しましょう。万が一のトラブルの際、この情報があるかないかで対処のしやすさが大きく変わります。引越しや転院の際も、情報を引き継ぐことをぜひ意識してください。
インプラント周囲炎——放置すると取り返しのつかないことに
インプラント関連のトラブルでもう一つ多いのが、インプラント周囲炎です。
インプラント周囲炎とは、インプラントの周りの歯肉や骨に炎症が起きる状態で、悪化すると膿が溜まり、最終的にはインプラントを支えている骨が溶けてインプラントが脱落してしまうこともあります。歯周病と似た病態ですが、天然歯と異なりインプラントには免疫的なバリア機能が弱い面があるため、進行が速いことが特徴です。
当院に来院される他院インプラントの患者さんの中には、インプラントを複数本入れているにもかかわらず、メンテナンスがほとんど行われていない状態で来られる方がいます。歯肉が腫れ、膿が出ており、X線でも骨の吸収が確認されるというケースです。「インプラントを入れたらそれで終わり」という認識で過ごされてきたのかもしれませんが、インプラントも天然歯と同様に、継続的なメンテナンスなしには長持ちしません。
当院では、インプラント周囲炎の外科的処置(オペ)にも対応しています。
AquaCareシステムによるインプラント周囲炎治療
インプラント周囲炎の外科処置において、当院が導入しているのがAquaCare(アクアケア)システムです。
インプラント周囲炎は汚染されたインプラント表面に細菌のバイオフィルムが強固に付着しており、これを除去しなければ治癒は望めません。
今までにインプラント周囲炎に対処する様々な器具を購入し、試してきましたが一般的に言われているチタンブラシによる清掃は器具が到達できない場所も多く、なかなか難しいと実感しています。
AquaCareシステムでは、生体活性ガラス(バイオアクティブガラス)を主成分とする「プロシルクパウダー」を使ったエアーアブレイジョン(ブラスト)処理によって、インプラント表面を効率よく、かつダメージを最小限に抑えながら清掃します。粉末が水流とともに吹き付けられることで、通常のスケーラーでは届きにくい微細な凹部の汚染物質まで除去できます。
さらに、このプロシルクパウダーは水に触れると局所的な環境を「弱アルカリ性」へと傾ける特性を持っています。多くの口腔内細菌は酸性環境を好むため、このアルカリ化作用によって、バイオフィルム除去後の細菌の再定着や増殖を効果的に抑制することができます。また、パウダーの成分が周囲の組織の環境を整え、処置後の骨や歯肉の健康的な回復(再石灰化・治癒)を強くサポートします。
この「物理的な徹底洗浄」と「化学的な環境改善」の相乗効果により、当院では良好な治癒経過(予後)を得ています。
もちろん外科処置はゴールではなく、その後の定期メンテナンスが必須です。せっかく治っても、清掃不良が続けば再発します。治療後は3〜6ヶ月ごとのリコール来院をお勧めしています。
最後に——インプラントは「入れて終わり」ではない
20年以上インプラントに向き合ってきた経験から言えることは、インプラントの成否は術後の管理で大きく変わるということです。良い素材を使い、精度の高い手術を行っても、その後のケアを怠れば長持ちしません。逆に、適切なメンテナンスを続ければ、インプラントは数十年にわたって機能し続けることができます。
インプラントのトラブルでお困りの方、他院で処置を受けたが不安な方、インプラント周囲の腫れや出血が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。
当院では無料相談を随時受け付けております。名古屋駅(桜通口)から徒歩3分、みやかわデンタルクリニックへお気軽にどうぞ。
